suikazukのうんぬん

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「抗老化薬」臨床試験始まる

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老いない体、それは太古から錬金術で、SFの物語で、人類の夢として追究されてきました。ここにきて、不老不死とまではいきませんが、人類初のアンチエイジング薬の臨床試験が始まるそうです。抗老化薬という響きはたまらないですね。

120歳まで寿命を延ばすアンチエイジング薬「メトホルミン」、ついにアメリカで臨床テストが始まる:らばQ

Anti-ageing drug could let you live to 120 in good health - Life & Style - NZ Herald News

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「メトホルミン」なんか窒素多くない…?

上図の化学式を持つ「メトホルミン」はもともと糖尿病患者に向けて処方されていました。しかしながら、業界では数年前から抗がん作用、がん予防作用、抗老化作用が提唱され始めていたようです。とくに驚きなのは、メトホルミンを糖尿病患者に投与したところ、糖尿病でない人より長生きしたという話。すごい…。

既に動物実験では効果が確認されて、米国FDAがヒトへの臨床実験を認めたとのことです。臨床試験開始は2016冬で、現在は70-80歳のがん、心疾患、糖尿病(または予備軍)の被験者と資金を集めているところとのこと。記事では寿命は現在の80前後から50%増えるかも??と言っているので、平均寿命120歳になっちゃうかもしれませんね!

また、この薬が既に糖尿病の薬として非常に重要な位置を占めており、既に副作用等の臨床データが豊富にあることも、研究を成功させやすい要因になるとのことです。いずれにしても、この続報を楽しみに待ってます!

 

 

でもやはり科学者の端くれとして、なんで抗老化作用があるの?ということは気になってググってみました。(突然難しくなります)

結果だけ述べると、メトホルミンは「AMP活性化プロテインキナーゼ=老化制御のドン」を活性化し、活性酸素の低減、細胞増殖因子(ガンにかかわる)の抑制といった効果を示します。これが細胞の劣化を抑制し、長生きできるというわけです。

そもそもメトホルミンはなぜ糖尿病に効くのでしょう?でも、その話をするために、回りくどく糖尿病の発症について述べます。糖尿病は、血糖値が高すぎる病気。筋肉組織等でブドウ糖を利用するため、肝臓はインスリンを分泌します。しかし、インスリンの量が少なすぎたり、インスリンに対して細胞が鈍感になると血液中の糖を取り込めなくなり、糖尿病となります。

治療法としては、①インスリンを投与してインスリン量を増やすものがあります。ただしインスリンはがん細胞の増殖を促進し、ガンの発生や再発のリスクを高めるのです。一方で②細胞をインスリンに対して敏感にさせる方法もあります。インスリンを高めるわけではないので、この点でガンのリスクはありません。インスリンの感受性には「アディポネクチン」というタンパク質が関わっており、件のメトホルミンはアディポネクチンを活性化します。このように細胞をビンカンにするのが糖尿病にメトホルミンが効く理由です。

メトホルミン→アディポネクチン→インスリン感受性向上→血糖値低下

です!

ここで、実はアディポネクチンには抗がん作用があることが報告されています。それはインスリン感受性を高めてインスリンの分泌量を減らすから、だけではなく、「AMP活性化プロテインキナーゼ=老化制御のドン」を活性化することが明らかにされているからです。老化制御のドンだけあって、いろんな作用があるようですが、例えば上記の活性酸素低下、細胞増殖因子の抑制、(素人の私も知っている)がん抑制遺伝子p53の活性化、等が述べられていました。

メトホルミン→アディポネクチン→「AMP活性化プロテインキナーゼ=老化制御のドン」

です!

こう科学的に確からしいとなると、アンチエイジング薬、更に期待しちゃいます。私が死ぬ前に開発されてほしいものです…。

 

参考:

http://www.1ginzaclinic.com/metfomin/metformin.html

http://www.long-life.net/newpage1299.html