suikazukのうんぬん

日々考えるよしなしごとをのせていきたい。

「ダイエットドラッグ」の甘い誘惑

ダイエットするのに甘いとはこれいかに!?と思いながらタイトルつけました。

欧州で密かに広がる「ダイエットドラッグ」。その恐怖の実態 | ハーバービジネスオンライン

ここで述べられている「やせ薬」はジニトロフェノール。比較的単純な化合物でした。

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2,4-ジニトロフェノール:爆発しそう…。そして人体に入れてはダメだろ…

これを摂取すると運動していなくてもエネルギーの代謝が促進され、見事やせていくとのこと。1930年代にはやせ薬としてアメリカで流行したようですが、副作用として多臓器不全や異常高熱が頻発し、使用禁止となりました。近年ネットショップで気軽に買って服用し、死亡事故が続発しています。

甘い罠ですね~。話を聞くと確かに効きそうですが、命を削ってまで脂肪を削りたいかといわれると…そんなわけない。我らがWikipedia先生によると体温が45度まで上がることも(当然死にます。インフルエンザの何倍もだるくなりそう)。そしてこの化合物なら長期的な作用として、発がん性もあるでしょう。

作用機序は脱共役と呼ばれます。以下私の下手な説明が続きます。

人間の体は、「ATP」をエネルギーの通貨として使用します。あえて言えば電気(エネルギー)をバッテリー(ATP)にためておく、みたいな感じですね。

今回、ATPの作り方が焦点です。

生物は、糖や脂質を使って作ったエネルギーを一旦別のエネルギー(ミトコンドリア内のプロトン濃度勾配)に変えて、それを使ってATPを作っています(酸化的リン酸化)。例えて言うなら、原子力発電で、原子力エネルギー発生→一旦水蒸気を作る→その水蒸気でタービンを回して電気になる、と同じ感じです。

つまりヒトは、エネルギー通貨ATPを、糖や脂質から、ワンクッションおいて作っています。このワンクッション部分をダメにするのがジニトロフェノール。

せっかく作ったワンクッション部分のエネルギーを、ジニトロフェノールが筒抜けに出して熱エネルギーにしてしまいます。先の原子力発電の例でいうと、ジニトロフェノールは、水蒸気が漏れ出るようにしてしまいます。

結果どうなるか。ヒトはATPが欲しいので、一生懸命糖や脂質を代謝し続けて頑張るが、ATPは作れない。代謝した分全部熱エネルギーになるので、体温が上がって脂肪が減る。体温が上がりすぎて死んでしまう。

2,4-ジニトロフェノール - Wikipedia

効くのは間違いないので、もっと安全にコントロールできる薬の開発・化学の発展に期待しています。