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suikazukのうんぬん

日々考えるよしなしごとをのせていきたい。

くちびるに歌を

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くちびるに歌を、ネタバレあります。

とてもきれいで良い小説でした。長谷川コトミちゃんのような子に会いたかった、と桑原君のような学生時代だった私は思うのでした。

作者の中田永一さんは、残虐スプラッタ系の得意な乙一さんと同じ人が別名義で書いているとのことです。くちびるに歌をのような小説の執筆も間に挟まないと魂の浄化ができないということなのですかね。

文章はかわいく、あえてひらがなのままにしている箇所がよく見られました。「しる」とか、「知る」と書いていないと違和感があるようなものまで。登場人物もみんな私が感情移入できる普通の中学生、という感じですが、結構重めに闇を抱えている人が多く、筆致の明るさと闇が好対照になっています。

結局、物語が終わっても、状況は依然好転していない、もしくは現状維持であるように思います。コトミちゃんの元彼は画像をいくらでも復元できるし、桑原君は将来が決まったまま。ナズナちゃんは完全に失恋。でも、みんな自分に自信がついている感じがします。自分の現状を受け入れ、胸を張って生きていく、その姿勢が青春の物語と「手紙」の歌詞に乗ってキュンと来ました。結局自分が堂々としてれば人生楽しいのですよね。

今 負けないで 泣かないで 消えてしまいそうなときは 自分の声を信じ歩けばいいの

伏線とオチも見事に決まっていました。繰り返し読むと見事なミスリーディングの存在に気づき、ち密な計算が感じられます。

映画も観ましたが、私の好きなコトミちゃんと桑原君の物語がすべて削除され、先生たるガッキー中心の物語になっていました。私は小説の方が好きだな、と思います。あと、ガッキーはコロコロ変わる表情と笑顔がかわいいので、もっと表情豊かな役に起用してください!!