suikazukのうんぬん

日々考えるよしなしごとをのせていきたい。

教団X

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教団X、ネタバレあります。

教団Xは厚めの大作(500ページ超)で、又吉さんがいつもおすすめしていたので気になっていた本でした。正直言って私にはハマりませんでしたが、考えさせるという点ではかなり考えさせられると思いました。

まずは私がハマらない点からです。作者の言いたいことがいろいろあって、手記や演説の形をとって無理に聞かされている感じがしてしまいました。最後にすべてが収束するカタルシスを期待しましたが、作者の言いたいことが多すぎて、風呂敷広げすぎて仕舞いきれていない感じがありました。宗教、性、宇宙とミクロ、貧困、右翼、陰謀論など…しかもいくつかの点で私の信条と違うせいでしょうか、斜に構えてしまい、いまいち物語に没頭できません。小説中にもあった「反対意見には耳もくれない」人たちにはなりたくないですが…。登場人物の会話等では、村上春樹のような、文脈を支離滅裂にして煙に巻く感じを感じました。

宇宙と素粒子の話は、多分作者より詳しいと思います。(理系ならみんなそうじゃないかな?)ですので、運命論(この世界は神様が既に決定したものの上を歩んでいるだけ、cf)ラプラスの悪魔)に依拠した仮説を否定的に考えてしまいます。量子の不確定性があるから、この世界は決定論的という説は否定されたと思っています。多次元世界的解釈なら分かりますが作者はそこに触れていない。そして、松尾らは、現在の定説を疑って、自分の仮説は根拠もなく断定的に信じてしまっているので、説得力がなくなってしまっています。登場人物全員が松尾と同じ考え(=作者の考え)を根拠に発言しているのも気になりました。

気に入った点は、最後前の立花さんの説得、「大事なのは、目の前に出現したその自分の人生を歩くってことなの。」いい言葉だと感動しました。ただ、これまでの立花さんのキャラがこんなまっとうなことを言う感じではなかったから、言葉は好きだけれど無理やり感があり完全には納得はできないです。

気に入った点その2は、このように色々な意見を巻き起こすことで、宇宙とは、意識とは、など考えさせられる点はすばらしいと思いました。よる眠れなくなりそう。

最後に、教団Xに私も入信したい!!!理由は、読んだ方なら分かります!!!